安全保障・
領土問題
外国資本による安全保障上重要な土地買収をめぐり、法整備を検討する政府の有識者会議(座長・森田朗津田塾大教授)が、土地を不適切に利用していると判断された場合、利用の中止を勧告や命令できる制度の導入を提言することが17日、分かった。土地所有者の情報と利用実態を国の調査対象とし、利用実態に応じて規制を行う。政府は年内にまとめられる提言を受け、来年の通常国会で関連法案の提出を目指す。
提言案では、原則として所有者の国籍のみで差別的扱いをすべきでないことを明記した。そのうえで、国の調査対象として、(1)防衛施設周辺(2)国境離島(3)原子力発電所など重要インフラ施設周辺-を挙げ、土地・建物の所有権と賃借権を調べる。所有者情報のほか、利用目的や実態も調査する。情報は政府内に設ける司令塔的組織が一元的に管理する。
指揮命令機能を持つ施設の周辺など安保上、特に重要性が高い土地の購入者には事前届け出を義務付ける。届け出後の追加調査で防衛施設に悪影響を及ぼすなどリスクが大きいと判断された場合、まずは現行法による規制を優先し、対処できない場合は不適切利用の是正を勧告、命令する。
利用中止の勧告や命令を受けた土地購入者には、国に補償を請求できる救済措置や、国による買い取りの努力義務も盛り込む。焦点だった規制のあり方について、提言案では多くの取引当事者はリスクが少ない「善良な者」であり、取引自体の規制は「慎重に検討していくべき」だとした。
この問題をめぐっては、長崎・対馬で自衛隊基地の近接地を韓国資本が買収。北海道では中国資本が水源地を含む山林を大規模に買収していることが判明している。提言案では、山林については現行法と組み合わせて対処可能として、対象とすることは見送った。
(産経新聞より抜粋)