安全保障・
領土問題
中国が領海の管理強化に向けて「海上交通安全法」の改正作業を進めている。中国の海事当局が「脅威」があると判断した外国船に、領海からの退去を求めることを可能とする内容だ。尖閣諸島(沖縄県石垣市)における中国公船の活動強化につながる恐れもあり、「海警法」に続き影響が懸念される。
中国の立法機関、全国人民代表大会(全人代)は、26~29日に北京で開く常務委員会の会議で海上交通安全法改正草案などを審議する。同草案は、昨年12月に審議が始まっており、年内にも施行される可能性がある。
法改正により、交通運輸省の傘下にある海事局の権限が強化される。
国連海洋法条約によって、外国籍の船舶は平和や秩序を乱さない無害通航であれば、事前通告なしで他国の領海を通過できるが、草案では外国船が「中国の領海の安全を脅かす」可能性があれば、海事管理機関が退去を命じる権利があると明記した。1984年に施行された現行法では、「港の安全に脅威があるとき」に港を離れるよう命じる権利があると定められており、この権限を領海にまで拡大した形だ。
中国は、海上警備を担う海警局(海警)に武器使用を認めた「海警法」を2月に施行した。独自の領有権主張を展開する東・南シナ海での海警の活動を正当化する狙いが指摘される。
海事局は、主に会場の交通管理や汚染防止などを担っているが、海上交通安全法改正を海警と連携して尖閣諸島などで活動を活性化させる根拠とすることが想定される。昨年12月に全人代常務委で改正草案が審議された際には、「海上交通管理の強化や、国家海洋権益の確保のため、有力な法律の支えを提供する」と強調している。
海事局は体制の強化も進めており、中国メディアによると初の1万トン級巡視船「海警09」が今年半ばに南部・広東省で配備される・
(産経新聞より抜粋)