令和4年04月23日(土)
安全保障・
領土問題
外交青書 露侵攻「国際秩序へ暴挙」
林芳正外相は二十二日の閣議で、令和四年版の外交青書を報告した。ロシアによるウクライナ侵攻について「欧州のみならず、アジアを含む国際秩序の根幹を揺るがす暴挙」と指弾。北方領土に関して「日本固有の領土であるが、現在ロシアに不法占拠されている」との表現を復活させた。「不法占拠」は平成十五年版以来、「日本固有の領土」は同二十三年版以来となる。対ロシアで前年版までの融和的なトーンを一変させた。
情勢認識では「米国が主導力を発揮して国際社会の安定と繁栄を支える時代から、米中競争、国家間競争の時代に本格的に突入した」との分析を初めて示した。ウクライナ情勢は「事態の展開次第では、世界も日本も戦後最大の危機を迎える」と強い危機感を示した。事態が中国の動きに与える影響を念頭に「力による一方的な現状変更を、いかなる地域においても決して許してはならない。日本を含む国際社会の選択と行動が、今後の国際秩序の趨勢を決定づける」とした。日露関係は「平和条約交渉の展望を語れる状況にない」とし、前年版までみられた日露協力に関する前向きな記述がなくなった。
(産経新聞より抜粋)