令和4年12月01日(木)
その他
東京地裁判決 家族制度不備「違憲状態」
同性婚を認めていない民法などの規定は憲法に違反するとして、同性カップルら男女八人が国に損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁(池原桃子裁判長)は三十日、同性カップルが家族になるための法制度が存在しないことは「同性愛者に対する重大な脅威で、違憲状態にある」と判断した。規定自体は「合憲」として請求をいずれも退けた。全国五地裁に起こされた同種訴訟で三件目の判決。
池原裁判長は判決理由で、「婚姻の自由」を定めた憲法二十四条一項については社会状況の変化を踏まえても「同性婚を含むものと解することはできない」と説明。「法の下の平等」を定めた十四条に関しても、民法などの規定には男女が子を産み育ててきた古くからの人間の営みを前提とする合理的な根拠があるとした。
一方で、婚姻や家族形成に関する「個人の尊厳」(二十四条二項)の侵害については「家族としての法的保護を受けるのは重要な人格的利益で、男女の夫婦と変わらない生活を送る同性愛者にとっても同様だ」と指摘。同性カップルが家族になるための法制度の不備を「違憲状態」とした。ただ、同性カップルの法的保護の実現方法は現行の婚姻制度に同性婚を含めるものになるとは限らず、同性婚を認めない規定自体は「違憲と断ずることはできない」と結論づけた。
先行する二件の判決は十四条を巡る判断が割れ、昨年三月の札幌地裁は「違憲」、今年六月の大阪地裁は「合憲」としていた。
(産経新聞より抜粋)