令和5年07月12日(水)
その他
職場トイレ制限「違法」最高裁初判断
戸籍上は男性だが性同一性障害で女性として生活する経済産業省の五十代職員が勤務先の庁舎で女性用トイレの使用を不当に制限されたとして国を訴えた訴訟の上告審判決で、最高裁第三小法廷(今崎幸彦裁判長)は十一日、制限は問題ないとした人事院の判定は「違法」とする判断を示した。心と体の性別が一致しない「トランスジェンダー」の職場環境に関する初の最高裁判断。裁判官五人の全員一致の結論で、いずれも補足意見を付けた。性的少数者の権利擁護についての議論が高まりをみせる中、学校や企業といった特定の人々で構成される場所での同様のケースを巡る対応に影響を与えそうだ。
同小法廷は判決で、職員は使用制限により「相応の不利益を受けている」と指摘。女性用トイレを利用することでトラブルは起きておらず、説明会でも「明確に異を唱えた職員はいなかった」と認定した。説明会から人事院判定までの約四年十カ月の間、経産省がトイレの使用制限について、処遇の見直しを検討していないことにも言及。人事院の判定は「具体的事情を踏まえることなく同僚らへの配慮を過度に重視しており、上告人の不利益を不当に軽視するもので、著しく妥当性を欠く」として違法と結論づけた。
(産経新聞より抜粋)