皇 室
秋篠宮さまが皇位継承順位1位の皇嗣になられたことを内外に示す「立皇嗣の礼」が終了したことを受け、政府内で安定的な皇位継承の在り方に関する議論が本格化しそうだ。菅義偉首相は父方に天皇の血筋を引く「男系継承」を尊重する立場を強調してきたが、政府・与党内には過去に例がない「女系天皇」容認論もある。旧宮家の復活を求める声も根強く、政府は慎重に検討を進める構えだ。
首相は4日の衆院予算委員会で、安定的な皇位継承の在り方について8日の立皇嗣の礼終了後に検討する考えを表明し、「男系継承が古来例外なく維持されてきた重みを踏まえながら慎重かつ丁寧に行う必要がある」と語った。譲位を一代限りとした平成29年成立の譲位特例法の附帯決議では、政府に速やかな皇位継承の在り方の検討と国会への報告を求めており、首相は「決議の趣旨を尊重し、対応したい」とも述べた。
男系男子に限られた皇位継承資格を持つ皇族は現在、①秋篠宮さま②悠仁さま③常陸宮さま-の計3人と戦後最少となっており、安定的な皇位継承の在り方は国家の基本にかかわる課題となっている。首相も「先延ばしできない重要な課題だ」として危機感を募らせている。
皇室典範では皇位継承の資格を父方に天皇の血筋を引く男系男子に限定しており、女性と、母方にのみ血筋を引く女系には認めていない。だが、女性皇族の婚姻などによる皇族数の減少は避けられず、これまでも女性・女系天皇の容認も含め議論が重ねられてきた。
17年11月には小泉純一郎内閣が女性・女系天皇を容認する報告書をまとめ、24年10月には野田佳彦内閣が「女性宮家創設」を柱とした論点整理を公表。安倍晋三政権では野田政権の論点整理を「白紙化」し、新たな論点整理の提出を目指したが、果たせなかった。
一方、超党派の保守系議員からは旧宮家の皇籍復帰を求める案も挙がる。菅政権では論点整理の取りまとめが最初の課題となる。加藤勝信官房長官は9日の記者会見で、譲位特例法の附帯決議に基づき対応すると説明しつつ、「現時点で具体的な検討の在り方について決定しているわけではない」と述べるにとどめた。政府高官は水面下で有識者からの意見聴取をしているとし、「限られたメンバーを中心に静かに決めていくことになるだろう」と話した。
(産経新聞より抜粋)